第八話 春の到来

長くて寒い冬もとうとう終わりです。

はなちゃんのおうちでは、梅の花が咲いて、モクレンの白い大きな花が咲くころになるとあたたかな日が続くようになります。
いよいよ楽しみな春休みが近づいてきました。

パパが注文した大きなキノコのビンのダンボールがいくつか届き、春休みを前にした週末にみんなでビンの交かんをすることにしました。
クリスマス前に入れかえたオオクワッチの赤ちゃんたちのビンも日に日に茶色い部分がふえてきています。

クワガタのビンにはさまざまな模様がついていました。
そこの方が茶色いビン。
まん中あたりが茶色いビン。
白いままのビン...

「パパ、白いビンには赤ちゃんはいないの?」

はなちゃんは、たずねました。

「たぶん、まん中で寝ているんだよ」

パパは、答えました。すると、

「くらやみでこわくないのかな!?」

と今度は、おにいちゃんがたずねました。

「オオクワッチの赤ちゃんは明るい方が苦手なんだってさ」

パパが答えました。

「ふ~ん?」

二人は、ふしぎそうな顔をして答えました。

パパは、クリスマスの時よりも少ししんちょうです。
ひとつ目のビンを中ほどまで掘り進んだところ、ボコッと大きな穴が空きました。
中から、オオクワッチの赤ちゃんがこちらをうかがっています。

こんどは色が白くありません。少し茶色く色づいています。

「そろそろ、さなぎになるのかな」

パパがつぶやきました。

「ちょうちょになっちゃうの?」

はなちゃんは心配そうに聞きました。
小学校の教室でかっていたモンシロチョウのさなぎを思い出したのです。

「クワガタになるんだよ」

パパは答えました。

赤ちゃんの中には、だえんけいの部屋の中でぼうのようになっている子もいました。
パパはその子は取り出さずそっとキノコのビンのふたをしめました。

一週間後、その子はオオクワッチの形をしたさなぎになっていました。

(つづく)